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産業廃棄物はどうやって処理される?中間処理と最終処分の違いとは?
2023年12月12日
私たちが生活するうえで出すゴミのことをまとめて廃棄物と呼びます。
廃棄物には一般廃棄物と産業廃棄物がありますが、産業廃棄物(以下、産廃)の処理方法については廃棄物処理法に従って処理しなければなりません。
今回は産廃処理の過程である中間処理や産廃の最終処分の内容と、両者の違いについて解説します。
中間処理や最終処分は産廃処理の関連用語
廃棄物には一般廃棄物と産廃の2種類がありますが、産廃は法律に従って適正に処理しなければなりません。
産廃処理の手順は、以下の4つのステップに分かれます。
・分別・保管
・収集・運搬
・中間処理
・最終処分
これを見てわかるように、中間処理も最終処分も産廃処理の流れの一環であることがわかります。
産業廃棄物処理の流れ
産廃とは、自分で使用したもので、他人に売却できない不要物のことで、事業活動によって排出されるものです。
産廃は20種類に区分されますが、原則、産廃を発生させた事業者が保管・処理しなければなりません。
産廃を排出した事業者(排出事業者)は、運搬や処理の許可を得ている専門の処理業者と委託契約を結び、産廃の処理を委託することができます。
排出事業者は処理業者に「マニフェスト」という管理伝票を交付します。
マニフェストには産廃の種類や数量、運搬業者名、処分業者名などが記入されていて、産廃処理が終了するまで廃棄物と一緒に移動します。
マニフェストを交付することで、排出事業者は産廃の処理に最後まで責任を持つことになります。
産廃の運搬
産廃の運搬は各都道府県知事が出す専用の許可(産業廃棄物収集運搬業許可)を持った業者だけが行えます。
運搬する過程で、産廃を処理することはありませんが、運搬中に産廃を外部に飛散させないよう、細心の注意を払わなければなりません。
産廃の形や性質により、最適なトラックや運搬容器を選択して中間処理施設まで運びます。
産廃の中間処理
中間処理とは、排出された産廃を焼却・脱水・選別・安定化・無害化する工程で、産廃処理のために欠かせないものです。
中間処理を行う目的は、産廃の量を減らすことです。
中間処理を行わず、全てを最終処分場に送ってしまうと、処分場が瞬く間に満杯になってしまいます。
中間処理で量を減らすことができれば、最終処分場で埋め立てる産廃の量を大幅に削減できます。
中間処理にはいくつかの過程があります。
・選別
・焼却
・粉砕
・溶融
・脱水
・安定化
・無害化
中間処理施設に運ばれた産廃は、計量や受入検査の対象となります。
受入検査が終わった産廃は中間処理施設で粗選別と手選別をで選別します。
粗選別は、大きさや長さ、重さなどによって大まかに分別することで、手選別とは人の手によって選別することです。
手選別では、リサイクル可能なものや可燃物と不燃物の分類などが行われます。
産廃を焼却することで、産廃の体積を大幅に減らすことができます。
同様に、粉砕することでも産廃を粉々に砕いて体積を減らしたり、資源リサイクルをしやすくしたりします。
産廃を高温で溶かす工程が溶融で、焼却した時に発生する焼却灰を溶融すると、道路の路盤材の材料となり、産廃のリサイクルを進められます。
産廃の水を抜く脱水も重要な工程です。
水分が減少すれば産廃の体積が小さくなるため、産廃全体の量を減らすことができます。
産廃の中には、そのまま処理すると環境や人体に悪影響を与えるものが含まれています。
中間処理施設では、廃酸や廃アルカリなどを中和して安定化させる作業や、ダイオキシンやPCBを取り除く無害化の作業も行っています。
産廃の最終処理
最終処分とは、中間処理後の産廃を処分場に埋め立てたり海に投棄したりすることです。
かつては海に処分する海洋投棄も行われていましたが、2007年以降、海洋投棄は原則禁止され、現在は行われていません。
最終処分場には、以下の3つのタイプがあります。
・遮断型最終処分場
・安定型最終処分場
・管理型最終処分場
遮断型最終処分場で処理されるのは、有害物質を含む産廃で、自然から隔離するための頑丈な建造物に処分されます。
安定型最終処分場は、有害物質や有機物を含まない廃棄物で、埋め立て処分の場として利用されています。
安定型処分場で処分されているのは、廃プラスチック類、ゴムくず、金属くずなどです。
管理型最終処分場で処理されるのは、遮断型ほど有害性が高くないものの、ある程度の有害物質を含む産廃です。
汚泥や紙くず、動植物の死骸・ふん尿などが処分対象となります。
中間処理と最終処理の違い
中間処理は埋立などの最終処分を行う前の処理のことで、産廃の重さや体積を減らすことが目的となっています。
一方、最終処分は中間処理後の産廃を埋め立て処分することです。
まとめ
今回は産廃処理の過程である中間処理と最終処分の内容とそれぞれの違いについて解説してきました。
中間処理の技術が向上するほど、最終処分に回される産廃の量が減るため、処分場の圧迫を防げます。
最もよいのは産廃そのものを減量することですので、事業者は今以上の産廃削減に努める必要があるでしょう。