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退去費用に納得いかないときの対処法と手順!払う必要ないものは?

2023年01月25日

「退去費用を請求された金額に、納得いかない」
賃貸物件から退去するとき、思ったよりも高額な退去費用が必要となり疑問に感じた経験のある方は少なくないでしょう。
では、具体的にどのような対処法をとったらいいのでしょうか。

この記事では、次のような疑問を解消します。

● 借主が払う必要のないものとは?
● 具体的な対処法や手順は?
● わからない点はどこに相談したらいい?

大きなトラブルにならないよう、あらかじめ注意しておきたい点についても解説します。
ぜひ最後までご覧ください。

退去費用に納得いかないときの対処法と手順!払う必要ないものは?

退去費用とは?納得いかないときに確認すべき点

退去費用とは、賃貸物件から退去する際にかかる費用です。
本来は敷金から差し引かれるものですが、しばしばトラブルの原因ともなるため注意が必要です。

注意すべきポイントとしては、日常生活上で生じた傷や汚れは原則的には含まれない点です。
今のところ費用の負担割合は以下の様に決められています。

借主負担 貸主負担
不注意・故意を原因とする傷・汚れ 経年劣化・通常損耗

ここでは、退去費用の中で支払う必要のあるものとそうでないものを紹介していきます。

借主が払わなくていいもの

退去時に必要となる費用については、国土交通省が発行している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」で定められています。
借主の義務は「故意や不注意で発生した損傷を回復する義務」です。

家具を置いてへこんだ床、日焼けによって変色したクロス、画びょうの穴が開いた壁などの「経年劣化・通常損耗」は借主に支払義務はありません。
借主には義務があるとはされていますが、必ずしも実際には借りた当時の状態に戻す必要があるわけではない点を知っておきましょう。

参考:国土交通省『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』

借主が負担すべきもの

借主側の不注意や故意が原因で付いた傷や汚れの修繕費用は借主が負担します。


● 飲食物を落としたりこぼしたりしてシミが付いてしまった床
● たばこによって変色した天井や壁
● ペットが傷つけてしまった柱

退去費用に納得いかないときの正しい対処法!5つの手順

退去費用に納得いかないときは、次の5つの手順で対処しましょう。

1.退去費用の内訳と明細書を請求する
2.契約内容とガイドラインを確認する
3.借主が負担すべきものと貸主が負担すべきものに分ける
4.貸主や管理会社に交渉する
5.調停・訴訟など法的手段をとる

ここではそれぞれについて順番に紹介していきます。

1.退去費用の内訳・明細を請求する

退去時には修繕費用の支払金額の内訳や明細書を必ず請求しましょう。
契約時の状態に戻すための修繕費用は本来、入居する際に支払った敷金から支払われます。
敷金がどのように使われたかをきちんと把握するためにも、支払明細書はきちんと要求し確認しましょう。

確認し、不明点がある場合は貸主に説明を求めるのもよいでしょう。

2.契約内容とガイドラインを確認する

契約とガイドラインの内容を確認しましょう。
原則として契約の内容が優先され、契約内で定められていないものについては、ガイドラインを確かめながら費用の負担割合を決めていきます。
注意が必要なのは、契約に特約がついている場合です。

特約によって借主の負担する修繕義務の割合が決められている場合は、一般的な範囲の負担割合を超えた請求であっても支払わなくてはならないため注意が必要です。

3.借主が負担すべきものと貸主が負担すべきものに分ける

請求書が手元に届けばまずは請求書の内容と契約書・ガイドラインの照合をしましょう。
照合し、内訳項目をそれぞれ借主と貸主のどちらに帰属するかを決めていきます。
分類し、本来であれば貸主側に該当する項目が借主側に割り振られていた場合は指摘が必要です。

4.貸主や管理会社に交渉する

貸主や管理会社に、退去費用の不当な点については放置せず疑問点を質問・交渉しましょう。
また、費用負担の振り分け方ではなく、リフォーム費用に対しても注意が必要です。
なぜなら、貸主側で割高なリフォーム費用の見積もりを選んでいる可能性があるからです。

対策としては、独自にリフォーム会社に見積もりを依頼しリ適正なリフォーム費用のリサーチをしてみましょう。
請求額が高いと思ったら、理由等と合わせる形で適正な費用の請求を貸主に対して行いましょう。

5.調停・訴訟など法的手段をとる

交渉で解決しない場合、次のような法的手段もあります。

● 調停
● 少額訴訟
● 通常訴訟

請求された費用の額によっても、とるべき制度が変わります。
手続きには手数料がかかるため、結果的に支出がマイナスにならないよう注意しましょう。

退去費用に納得いかないときの相談窓口

退去費用について、納得いかないときや交渉を断られたとき、無料で相談できる窓口があります。

相談窓口 連絡先
消費者ホットライン 188
国民生活センター 03-3446-1623
法テラス 0570-078374
日本消費者協会 03-5282-5319
不動産適正取引推進機構 570-021-030
日本賃貸住宅管理協会 WEBフォーム

FAX:03-6265-1556

郵送:〒100-0005

東京都千代田区丸の内1-7-12

サピアタワー18階

トラブルが大きくなる前に、有効活用しましょう。

退去費用でトラブルにならないために注意したい点

あらかじめ注意しておきたいのは、次の3点です。

● 敷金ゼロ物件は退去費用が高くなりやすい
● 契約に特約が付いている物件もある
● 退去費用請求は放置しないのが無難

それぞれ見ていきましょう。

敷金ゼロ物件は退去費用が高くなりやすい

本来、退去時にかかる修繕費用は敷金から差し引かれます。
敷金がない物件では、契約で規定されている場合がほとんどです。
敷金ゼロ物件では、退去時に高額な費用を請求されるケースもあるため注意が必要です。

契約に特約が付いている物件もある

契約書に通常の範囲を超えて借主が費用負担するよう規定した特約が付いている場合があります。
ただし、特約を有効とするには、一定の要件を満たす必要があります。

特約が有効となる要件

1. 特約の必要性があり、かつ、暴利的でないなどの客観的、合理的な理由が存在する。
2. 賃貸人が特約によって通常の原状回復義務を超えた修繕等の義務を負う点について認識している。
3. 賃貸人が特約による義務負担の意思表示をしている。
・引用:国土交通省『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』

契約の有無や有効性については事前に調べておきましょう。

退去費用請求は放置しない

退去費用に納得いかない場合でも、請求を放置するのは避けましょう。
借主が払わなければ連帯保証人に請求が届き迷惑をかけてしまったり、訴訟を起こされたりする可能性があります。

後々のトラブルを避ける意味でも放置はせずに、納得できない旨を伝えましょう。

まとめ

退去費用に納得いかないときは、不当性があるかを確認し交渉する必要があります。
借主が払う必要があるのは故意や不注意による損傷であり、経年劣化や通常損耗は貸主の負担となります。
納得いかない場合でも放置せず、冷静に対応しましょう。