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アスベストのレベルとは?レベルの違いや対策について解説
2023年02月23日
肺がんや悪性中皮腫などの健康被害を引き起こすアスベストには、3つのレベルがあります。
3つとも、含まれている箇所や建材の種類、発生しやすい状況など異なる点が多いのが特徴です。
しかし、どれにおいても人体へ被害を及ぼす可能性があるので、工事の際には注意する必要があります。
今回は、アスベストのレベル別の特徴や危険性、対策方法について解説します。
身近な建造物に石綿含有の建材が含まれている可能性がある方は、ぜひご覧ください。
アスベスト(石綿)はどんな成分?
アスベストは繊維状の鉱物で、「奇跡の鉱物」といわれて建材によく用いられていました。
ところが、繊維が飛散し吸い込んだ際に人体に入って肺に刺さる健康被害が続出したため、1975年から段階的に禁止されていました。
2006年の法改正によって、石綿含有建材は全面禁止となっています。
しかし、2006年以前に建てられた建造物にはアスベストがある可能性がゼロではありません。
現在は、解体する業者や近隣住民などの健康被害を予防するために、レベルが定められています。
各レベルのアスベストの特徴
アスベストにはレベル1・2・3があり、それぞれの主な特徴は下記の通りです。
● レベル1:飛散性がとても高め
● レベル2:密度が低め
● レベル3:硬めの板状に成形
この章では、それぞれの特徴や危険性について解説します。
レベル1:飛散性がとても高め
レベル1は、解体の難易度が最も高く飛散性が高いのが特徴です。
放置しておくと、人体への被害が大きくなる可能性があります。
レベル1は、立体駐車場の天井やエレベーターや耐火性のある建造物によく用いられる「石綿含有吹き付け材」が主な対象です。
危険がともなうため、工事の前には届け出をする必要があります。
作業員は、保護衣や専用のガードマスクを装着していないと危険です。
作業中、周辺住民への注意喚起を促すよう義務づけられています。
解体工事のあとも、集じん機を稼働させて作業場所から有害物質を徹底的に排除します。
レベル2:密度が低め
レベル2は、石綿を用いた断熱材(もしくは保温材)などが対象です。
解体の難易度は比較的低く、建材の飛散もあまり見られません。
主に建築物の柱や梁(はり)、ボイラー本体や配管・煙突などに用いられている場合があります。
シート状に巻き付けられていますが、いったん建材が崩れると有害物質が飛散する危険があるのが特徴です。
アスベストが飛散する危険を含むので、レベル1と同じく作業前には届け出を提出する必要があります。
レベル3:硬めの板状に成形
レベル3の建材は、石綿を含んだ床材や壁材に含まれています。
硬い板状に成形されているため、アスベストが飛散する危険性は低めです。
しかし、解体に関わる工事の作業員は、破砕・切断時のアスベスト飛散に十分気をつける必要があります。
レベル1・2と違い、特定粉じん排出等作業届と建物解体等作業届は提出不要です。
レベルに関係なく、自宅や職場近くで解体工事をしていたら、なるべく近づかないようにして身を守りましょう。
アスベストから身を守るための対策3選
アスベストの健康被害から身を守るための対策として、下記3つが挙げられます。
● 事前調査を依頼する
● 専門業者に除去工事を依頼する
● 防じんマスクを準備する
それぞれの対策について解説するので、ぜひ参考にしてください。
1:事前調査を依頼する
自宅がアスベスト含有の建造物であるか調べたい場合は、専門業者に事前調査を依頼しましょう。
依頼された業者が、自宅の建築に関わった建築業者や工務店などで設計時の図面や計画書を確認したり、実際に自宅の現地調査をしたりします。
自宅が建設された時期が2006年以前である場合、法規制となる以前なのでアスベストを用いた可能性は十分に考えられます。
アスベストの健康被害に不安があるなら、念のため事前調査を依頼した方がよいでしょう。
2:専門業者に除去工事を依頼する
アスベストが確認された場合は、専門工事業者に依頼します。
除去工事に関する資格(石綿作業主任者または特定化学物質等作業主任者、作業測定士など)を持っている業者を探して依頼をしましょう。
有資格者であれば、石綿作業に関する専門知識があって、建材や道具の適切な取り扱いができます。
そして、規則に則って特殊健康診断やアスベストに必要な社員教育をしている業者かどうかも、事前に確認しましょう。
3:防じんマスクを準備する
除去工事の最中にアスベストが飛散する危険があるため、一般のマスクではなく防じんマスクでしっかりとガードしましょう。
防じんマスクを手入れするためのウェットティッシュを準備しておくとより安心です。
工事作業員が作業用マスクをしているか、工事後の作業員と接触する前にしっかりと確認しておく必要があります。(飛沫が飛んでくるかもしれないため)
そして、工事をしている場所にはできるだけ近寄らないようにしましょう。
まとめ
アスベストが含まれる可能性があるのは、1970~2000年代に建てられた建築物や住宅がほとんどです。
2006年の法改正によってアスベストが禁止された今、石綿含有の建材が含まれる建物の解体が全国各地で徐々に進んでいます。
もし身近な建造物に石綿が含まれるかもしれない建物があれば、細心の注意を払って立ち入る必要があります。
自宅に石綿含有の建材が含まれるか不安な方は、まずは調査で確かめましょう。